「窓条約」、アメリア代表団が来亰 定常窓の供与めぐり政府は板挟み ノルディアは「全公開」迫る
定常窓技術の移転条件と軍事転用の禁止を定める「窓条約」の交渉で、同盟国アメリア合衆国の代表団が9日、東亰に到着した。アメリアは同盟国への優先供与を求め、公開派のノルディア連合は全公開と完全禁止を主張する。日ノ國政府は両者の間で立場を決めかね、秋の国会は「窓外交」が焦点になる。
代表団は国務省の次官級を団長とする12人。9日午前に羽田に着き、午後には外務省で第1回の実務協議に入った。協議は3日間の予定で、定常窓の観測装置(窓機)の設計情報をどの範囲で、どの国に、どんな条件で移転するかが議題になる。
■アメリアの要求
アメリアは昨年、大平原の揺らぎ帯で反復揺らぎの候補地点を確認しており、自国に定常窓を持つことを急いでいる。同国は「同盟国への優先供与」と「安全保障上の例外」を条約に書き込むよう求めている。外務省筋によると、代表団は「日ノ國の窓機は日ノ國の発明だが、揺らぎは人類全体の現象だ」と述べたという。
日ノ國にとってアメリアは最大の同盟国であり、観測機器の最大の輸出先でもある。断りにくい相手だ。
■ノルディアの圧力
一方、公開派の旗手であるノルディア連合は先週、「定常窓技術は全加盟国に同時に公開し、軍事転用は例外なく禁止すべきだ」とする声明を出した。声明は日ノ國を名指しし、「揺らぎ大国には模範を示す責任がある」と結んだ。公開派にはカナディア、フランセ、ドイチェ、瑠海王国、アオテアなどが並び、加盟国数では最大の陣営だ。
ドイチェ連邦は窓機の精密光学部品の供給国でもあり、「軍事転用に道を開く条約には部品を供給しない」と非公式に伝えているという。日ノ國の窓機はドイチェの光学部品と台瀛の半導体なしには作れない。
■玄洲・ルーシは「主権」
主権派の玄洲とルーシ連邦は、条約交渉そのものに距離を置いている。玄洲外交部は「観測は各国の主権に属する。他国の窓の設計に口を出す条約は不要だ」と述べた。ただし玄洲は渭水回廊に世界第2の揺らぎ帯を持ち、定常窓の候補地点も複数あるとされる。日ノ國の技術が公開されれば、最も早く追いつくのは玄洲だという見方が外務省内にはある。
■政府は「板挟み」、国会は秋の焦点
政府は9日、公式には「各国の意見を聞きながら、揺らぎの平和利用という原則に沿って交渉する」と述べるにとどめた。与党内では、同盟を重視する外交筋と、公開を求める世論に敏感な議員が割れている。野党は「観測データ公開法案」の審議を条約交渉に先行させるよう求めている。
東亰の街の反応は冷静だ。第1窓の見学者に聞くと、「向こうの街を、どこの国が見たっていい。撃ち込めないんだから」(会社員、45)、「うちの窓なのに、よその国が先に決める話になっているのが変」(大学生、20)と、意見は分かれる。
TDA次元調査課は交渉に直接は関与しないが、課長は本紙に「窓は見るための装置です。どの国が見ても、見えるのは同じ街です。技術の話は、政治の方でしてください」と話した。協議は11日まで。代表団は10日、羽田沖の第1窓を視察する予定だ。
