瑠海と鑑定協力協定の拡大に署名 カイエ3世、鑑定センター視察も収蔵品は非公開のまま
外務省と瑠海王国政府は20日、漂着物の鑑定協力協定を拡大し、鑑定人材の相互研修を正式な制度として組み込む改定に署名した。式典には来亰中の国王カイエ3世(34)も同席し、既報どおり署名後は第三鑑定センターを視察したが、窓漂着物を含む個別の収蔵品は非公開のまま貫かれた。碧海諸島の在京関係者も式典後のレセプションに招かれた。
■ 既存協定を拡大、相互研修を制度化
外務省は20日午前、京橋の迎賓施設で、瑠海王国との漂着物鑑定協力協定の拡大に関する改定文書に署名したと発表した。日ノ國側は外務省国際協力局審議官・雨宮悠一氏(55)、瑠海側は拾い上げ庁次官・マノン・ケイレア氏(48)がそれぞれ署名し、来亰中の国王カイエ3世(34)が立会人として同席した。既報(8月)の既存協定を拡大し、鑑定人材の相互研修を条文上の正式な制度として組み込む内容で、年間十数人規模・研修期間3カ月程度の本格実施を見据えた枠組みとなる。
既報(1日・9日・12日)のとおり、本格実施に先立つ先行派遣として、11月10日ごろから3週間程度、第三鑑定センターの梅津肇・日和田香澄両技官が瑠海側へ、瑠海側からも技官が日ノ國側へ派遣される予定で、受け入れ担当の蓑輪誠一氏を含む3人が署名式に出席した。マノン・ケイレア次官は「現場の技官同士が行き来する枠組みを条文に落とし込めたことを、何より嬉しく思う」とコメントした。
改定文書では、研修期間を本格実施時に3カ月程度とすることのほか、受け入れ先の選定手続き、滞在中の身分保障、研修で得た知見の取り扱いといった実務細目が初めて条文化された。雨宮審議官は「これまでは口頭の申し合わせに頼っていた部分を、条文として固定できた。先行派遣はこの条文の最初の実践例になる」と説明した。
■ カイエ3世「現場を自分の目で見たい」
署名式に続き、カイエ3世は第三鑑定センターを視察した。既報(16日)どおり、視察は保管棟の運用状況の説明にとどめる方針が貫かれ、窓漂着物を含む個別の収蔵品の現物は見せられなかった。センターの案内役を務めた蓑輪誠一氏によると、国王は「どの棚に何があるかを教えてもらうだけでも、十分に意味がある」と述べ、非公開の方針そのものに不満を示す様子はなかったという。外務省筋は「現物公開は、鑑定が済んでいないものを見せることと同じ意味を持つ。王室の血筋がどうであれ、手続きの外は作らない」と、既報どおりの説明を改めて繰り返した。
奇しくも視察当日の未明、同じ保管棟には、既報の第5窓「剣の国」で史上初めて回収された「意図して送られたとみられる物」が運び込まれたばかりだった。外務省筋は「今朝のものも、他の収蔵品と同じ扱いになる」と述べ、来訪との時期的な重なりはあくまで偶然だと強調した。窓の開口が制御不能である原則そのものにも、当然ながら変更はない。
■ 碧海諸島、レセプションに招待
外務省は、既報(16日)どおり瑠海の隣国・碧海諸島の在京関係者を署名式後のレセプションに招いたことも明らかにした。既報(12日・13日・18日)のとおり、碧海諸島は瑠海先行派遣の枠組みを参考に、日ノ國への鑑定人材派遣協力を正式に要請しており、東亰精密光学も既報の観測機器の価格試算を進めている。外務省筋は「瑠海との枠組みが固まったことで、碧海との協議も次の段階に進めやすくなった。ただし招待は協力拡大の約束そのものではない」と、既報どおり慎重に線を引いた。
雨宮悠一審議官は「窓条約の暫定合意(既報15日)に続き、個別の協力案件を一つずつ前に進められた。板挟みであることを隠さずに交渉するしかない、というのはこの件でも変わらない」と総括した。カイエ3世は21日に第1窓「灯しの街」を見学し、22日に離亰する日程が続く。
■ レセプション、碧海側は静かに様子見
署名式後のレセプションに出席した碧海諸島の在京関係者の一人は取材に「瑠海の枠組みがこうして形になるのを間近で見られたのは収穫だった。我々の案件はまだ先だと分かっているので、今日のところは静かに見ていたい」と控えめに語った。鵜飼素子市長は式典後のコメントで「協定の中身より先に、まず現場の技官同士が顔を合わせられる仕組みができたことを評価したい。数字はそのあとでいい」と述べ、口癖どおりの姿勢を崩さなかった。











