瑠海国王カイエ3世、第1窓「灯しの街」見学 史上初の定常窓訪問、開口は見られず
瑠海王国の国王カイエ3世(34)は21日午前、羽田沖・観測やぐらの第1窓「灯しの街」を見学した。既報どおり国賓としては初めての定常窓訪問で、各国の元首級の来賓が窓を訪れるのも史上初めてとなる。だが見学時間帯の約45分間、窓は開口せず、国王は観覧窓の向こうに静止した石造りの街並みを見ることはできなかった。一方、その2時間前の一般見学では約12分間の開口があり、抽選に当たった市民80人は灯りの行列を目にしていた。
■ 午前9時40分、国王は観覧窓の前に立つ
次元調査課によると、カイエ3世は21日午前9時40分、羽田沖・観測やぐらの第1窓「灯しの街」観覧区画に到着した。既報(18日)のとおり見学路は一般公開区画に限られ、非公開の観測区画には立ち入らない方針が守られた。随行したトゥイ・マカレア侍従長(52、既報)、外務省・宮内庁の儀典担当者らに加え、警備には東亰刀士会の刀士2人と潜行監視員1人が配置され、昼と夜の分業を昼間に重ねる既報どおりのやや珍しい配置となった。
国王は観覧窓の手前で立ち止まり、約10分間、案内役の柚木透技官(31)から第7系統「灯しの街」の見え方——石造りの高層都市、灯りと水を操るための手順書「式」の仮称、免許証のような札を持つ組合のような集団——について説明を受けた。柚木技官によると、国王は「向こうの人々は、自分たちが見られていることを知っているのか」という質問を最初に口にしたという。「従来の見解に変更はない、とお答えした。向こうがこちらを認識している証拠は、今のところ無い。国王陛下は、それ以上は踏み込まれなかった」と柚木技官は振り返った。
■ 45分間、窓は開かず
しかし、国王が観覧窓の前にいた約45分間、窓は一度も開口しなかった。次元調査課の記録によると、この日の第1窓は午前6時台に短い開口が一度あったのみで、以降は終日「不定」の状態が続いていたという。マカレア侍従長は取材に「陛下は落胆された様子を見せなかった。むしろ『向こうが見えるかどうかは、向こうが決めることだ。こちらが決められることではないと聞いていた』と、こちらに確認するような言い方をされていた」と話した。
国王自身も見学後、報道陣の求めに応じて短く応じた。「曾祖母の言葉を思い出しながらここに来た。見えるものを見えないふりで済ませてはいけない、という言葉だ。だが今日は、見えないものを見えたふりで済ませるわけにもいかない、ということを学んだ気がする」。既報どおり「配信王」として知られる国王だが、この発言について配信は行わず、本紙など同行の記者団への口頭談話にとどめた。
■ 2時間前、一般見学の80人は灯りを見た
対照的に、この日午前7時台に行われた一般見学では、約12分間の開口があったことが分かった。既報どおり第1窓の一般見学は抽選制で1日80人まで。この日の当選者の一人、城東に住む会社員男性(39)は「灯りを持った行列のようなものが、石の通りをゆっくり進んでいくのが見えた。初めての当選で、まさかこんな光景が見られるとは思わなかった」と声を上ずらせた。窓室の職員によると、開口は午前7時18分に始まり、7時30分ごろには既に閉じていたという。
次元調査課の担当者は「国王陛下の見学時間帯とは別枠で、通常どおりの抽選見学として実施した。開口のタイミングが重ならなかったのは、制御不能の原則どおりの結果であり、誰かの意図が働いた余地は無い」と説明した。既報の「午後の一般見学は休止」という措置についても、「国賓対応のための一時的な措置であり、見学の権利そのものに差をつけるものではない」と改めて述べた。
■ 振替案内、「外れ」が「延期」に変わった人々
既報(18日)どおり、本来21日午後の抽選に当たっていた市民には、この日中に別日程への振替案内が送られた。次元調査課によると対象は32人。振替案内を受けた一人、城北在住の主婦(61)は「当たったと聞いて喜んだのに、国王様の都合と分かって延期と言われたときは、少し拍子抜けした。でも考えてみれば、国王様も見られなかったと聞いて、なんだか気が楽になった」と笑った。振替先の日程は11月中旬までのいずれかの回になる見通しで、次元調査課は「抽選の公平性を保つため、振替分は通常の枠とは別枠で確保する」としている。
■ 刀士・監視員、昼の持ち場
警備にあたった刀士の一人は「国賓の護衛という意味では慣れた仕事だが、場所が窓室というのは初めてだった。もっとも、抜く機会がある仕事ではないので、いつもどおり立っているだけだ」と話した。同行した潜行監視員は「夜番の仕事を昼にそのまま持ってきたような感覚だった。聞こえないのが仕事、というのは今日も変わらない」と、短くコメントした。既報どおり、刀士会・監視業組合は合同訓練の経験を踏まえ、式典関係者の経路と一般見学路が交差しないよう動線を分けて配置していた。
■ カイエ3世「来てよかった」、22日に離亰
見学を終えたカイエ3世は、次元調査課の職員に「開かなかったことも含めて、来てよかったと思う。見えるかどうかが分からないという事実そのものを、自分の目で確かめに来たのだから」と述べたという。既報どおり国王は20日に鑑定協力協定拡大の署名式に出席し、第三鑑定センターを視察したが、収蔵品は非公開のままだった。4日間の日程は22日の離亰で一区切りとなる。
次元調査課は21日夕の会見で、今回の国賓見学について「向こうがこちらを認識している証拠はない、という第1窓の従来見解を変える材料は得られなかった」と総括した一方、「開くかどうかが誰にも分からないという事実こそが、この面の一番正直な報告だと思っている」と述べた。柚木技官は「国王陛下にお見せできなかったことを残念に思う気持ちはある。ただ、窓が誰のために開くわけでもないという原則を、こうして国賓にも等しく適用できたことに、ひそかな誠実さを感じている」と話した。灯しの街は、今日もまた、誰に見られるかを選ばずに、静かに石の通りを横たえている。








